幼稚園のときからサッカークラブに通っている天だが、
ついに辞める決心をした。
もともと練習についていけてなくなってて、ずっと
「やめたかったらやめていいよ」と言われながらも、
通い続けてきたものだったが、
足を怪我して休んでいるあいだに、
こころの支えにしていた友達が辞めてしまったのが
きっかけになった。
「サッカーやりたい」と言って習い始めた天の試合を見て
「サッカーに向いていない」と言い出したのは夫だったが、
約7年間、さぼることなく雨の日にも寒い日にも通い続けた天だった。
昨日の夜ごはんのときに、夫にも
「サッカー辞めることにした」話をして、
「中学校の部活は何がいいかな?」って相談したときのこと。
「スポーツはやめといたほうがいいよ、向いてないよ。
中学校の部活なんか、ついていけるわけがない。」と、
彼が言い切ったのだった。
天は絶句。
その天の顔見たらかわいそうで、
「どうしてそういうこと言うのかな。」とかなんとか、
わたしもちょっと反論したのだったけど、
「あんただって、スポーツしてなかったやろ。」と言われた。
「いや。それはそうなんだけど。
わたしはほんとにスポーツできなかったし、
スポーツできないと思ってたもん。」
「できると思ってついていけないほうがショックやろ。」
「天だって、できるなんて思ってないじゃん。」
「だからやめたほうがいいって。負けず嫌いでもないし。」
言い合うのを横で見ている天が傷つくのでそのへんでやめた。
負けず嫌いのスーパーキッズってタイプの子どもじゃなくても、選手とかになって大活躍できないかもしれなくっても、いちばん身体が変化して大きくなる時期に、スポーツしたっていいじゃんか、とわたしは思うのだけどね。
○
ヒアちゃんのピアノのことを考えてみる。
身体の動きがヘンテコなことや、足が遅いのをからかわれて、「スポーツできない」と思い込んでたわたしは、「スポーツできる」夫にすごく憧れるし、天にスポーツをあきらめてほしくない。
だけど、わたしの「やらせたい」が本人の「やりたい」を曲げちゃダメだね。
天は7年間続けてがんばったんだもん。
親では与えられないものをたくさん得たのだから。
そこに注目してあげよう。
わたしの子どもが、お昼休みに、外でサッカーやってて、シュートチャンスで転んで怪我したなんて、すごいと思うもん。わたしの小学生時代、みんなと、外で遊ぶなんてできなかったもん。
なにを選んでも選ぶのは本人だってことを忘れないようにしよう。