子供会の行事でスイカ割り。ブルーシートに載せたスイカの前に、小さい子から順番に並ばせて目隠ししてぐるぐるしてぱこんぱこん。きゃあきゃあ、こっちこっち、もうすこし右、そのまままっすぐ。ぱこ。きゃあきゃあ。
わたしは今年子供会の役員なので準備やお世話に大忙しであった。冷えたスイカを切ったり配ったり景品を分けたりなんたりばたばたしていたところで、数人の男子が、割れたスイカを足で蹴って踏み付け始めたのが目に入った。
「食べ物にそんなことしちゃだめでしょ。」と注意すると、「地面に置いて割れて汚れてアリもたかっているのでこれはもう食べられないから食べ物じゃない。」というようなことを言う。
その子は重ねて注意しても聞かなかったし、片づけもしないでさっさか帰っていった。親を呼んでやろうかとも思ったが、それも面倒臭いので黙って後始末をする。ぐちゃぐちゃになったスイカを拾い集め、公園の水道でブルーシートを洗う。
台風一過の炎天下、役員でないお母さん方も数人が、ささっと快く片づけを手伝ってくれた。後片付けを手伝って、「ありがとうございます。」と、役員のお母さん達にお礼を言って帰る子どもも数人いた。
ほとんどの子どもは、することやったら挨拶もせずにさっさか帰る。付き添って来ている親も少数。いつのまにかやってきて、いつのまにか帰っていく。そんな風なのが今どきの地域行事事情。
○
夜ごはんのとき、ふと気になったので天に聞いてみた。
「天さ、今日、スイカ踏んでた子がいたじゃん。あれ、見た?」
「うん。見た。」
「もしかしたら、天も、やった?」
「ううん。やんない。」
「どうしてやんなかったの?」
「ママは、どうしてそんなこと聞くの?」
スイカを足で踏んづけていた子どもらは天の同級生だったし、わたしはまるで自分の子ども達に目が届かない状況だったからだと説明する。
「ママもさ、天はやんなかっただろうなあ、と思ったけど、天の友だちはやってたでしょ。それが、どうしてかな、って思ったの。」
「それはね、ママ、食べ物だからだよ。スイカはね。小さな種からあんなに大きくなるまで頑張ったんだよ。せっかく誰かが大事に大事に育てて、僕達のところまで運んできてくれたのに、足で蹴ったり踏んだりしたら、かわいそうでしょ。」と言う。
当たり前で安心した。