今度はわたしの耳の中が気持ち悪いので、
近ごろお気に入りの耳鼻科に。待ち合い室に少女漫画の単行本がたくさんあるので待ち時間に読みふける。
誰の趣味のコレクションなのかわからないが、ハードな漫画が多い。今回わたしが手に取ったのは、義理の兄による性的な虐待を軸にしたストーリーが、かわいいきれいな絵柄でだだだだ、と展開するものだった。ヒロインは高校生。15分で三冊読む。
たとえば耳鼻科に来た小学生が、こんなのをたまたま読んだらびっくりするだろうなあ、などとしばし考えるが、びっくりした子は読まないだろうな、となんとなく思う。「そういうのには、ついていけない」っていう感覚を持っていれば、そんなものだ。
やがて診察室に呼ばれる。先生がちょっと変テコな先生であるためか、いつも待ち時間短くて残念。
先生と一緒にモニター画面で自分の耳の中を見る。しげしげと鼻の穴と喉と診察された。顔面には穴が多いものだなあ、と思う。先生無言でわたしの腕を掴んで、両腕の裏側も診察。「アトピーですか?」と聞かれたので、「そうですね」と答える。
「鼻も軽い鼻炎がありますね。で、耳は
外耳道湿疹です。」とのこと。先生は患者の顔を見ないでナナメ下を向いて話す。わたしは鼻の穴になったような気持ちになる。
「過去にピアッシングに失敗して、それ以来、金属アレルギーなんですけど、耳の中の湿疹に関係ありますか?」と尋ねる。先生はいかにもそっけなく「関係ないですね。」と言う。アトピーのひとに多い症状だそうだ。アトピー体質なのってほんとに厄介だ。
リンデロンを処方された。先生が使った極細綿棒が気持ちよかったので、一袋分けてもらいたいと交渉する。「適正価格がわからない。」と先生が下を向いたまま困っていたので「じゃあ、イイです。」とあきらめかけると「じゃあ、50円で。」と言われる。
「ありがとうございます。足りなかったらまた、払いに来ますね。」と、にんまり笑うと「半分冗談ですから。」と返され、どの半分が冗談なのよどうなのよ、と思うが聞き流す。
あちこちにアジサイの花が咲いてる。梅雨時期にあちこちでアジサイを見ると、得した気持ちになる。見るたびに色が変わるからだ。