昨日、夕食の準備をいているところに以前いっしょに働いていたひとから電話があった。
彼女はずうと働いていて、自分名義のマンション持ち/夫なし/子どもなし。今後も仕事を続けることになんの迷いもなく、家庭に入り自由をなくし、自分の収入や自己達成感をなくすなんて想像するだに恐ろしい世界だ、との話し。
わたしはね、今はね、子どもたちがいて夫がいて自分が一番最後だな。
そういうところに不時着してしまったように感じて焦っては、もがいていたこともあったけど、今はどうにもならないなあ、と、どうにか落ち着いたところかな…。とか話たり。
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彼女は人間関係や自己分析に関するセミナーを受けている最中らしく、そうした電話をかけるのも「ワーク」の一環のようだった。そういえばこの前の彼女からの電話は、マルチ商法のサイドビジネスの勧誘だったなあ、など思い出し。
いまひとつ話題もかみあわないまま、それでも小一時間ほど話し、電話を切り、キャベツを千切りに刻もうとしたら指を切った。
「どうしたの?ママどうしたの?見せてごらん。見せてみせて。」
と寄ってきたのは子ども達。
とりあえず止血のためタオルで押さえながら、のこりのキャベツを大きく切り、夫に呼び掛けて、夕食の焼肉をホットプレートで焼きはじめた。
そこでキャベツにドレッシングを自分でかけようとした月が、ドレッシングの瓶ごと取り落とし。お皿が割れ、ドレッシングが大量にこぼれ、テーブルの上はめちゃくちゃになり。
月が「しまった!」って顔をしてわたしを見る。ものすごく動揺しているのが伝わってくる。「わざとじゃなかったでしょ。しようがないよ。失敗することは誰にもあるよ。」と声をかけ、片手で後片付け。夫は終止無言。頭の中がちりちりした。
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さいわい、たいした怪我でもなかったし、ゴム手袋をして夕食の後片付けをした。
夫が天と月とお風呂に入り。先に出てきた天と月が、コロコロカーペットで部屋のそうじを手伝ってくれた。
ふいに月が、長い柄をマイクスタンドに見立て、くねくね踊りながら、「俺はジャイアン♪」と、歌いはじめた。天と笑い転げた。
空気にぱっと明るい色がついた。