ちかごろ、女友達と恋愛の話をする機会が多くなったのだけど、わたしにはメールとか携帯とかを使う今どきの恋愛のかたちがよくわからないし、そもそも、恋愛ってどうするものなのか、が、もう、よくわかんない。
なんだか気になるひとから誘って誘われていっしょに過ごすようになって、いろんな話をしてたら、すごく好きになって好き好きって言い合って、手を触れたら唇が重なって身体ごと離れられなくなったらいつも想うようになって、ちょくちょく会ってるうちにいっしょに住むようになって、結婚してたら子どもたちが生まれてきて、気がついたら出会ってから20年くらい経ってて、好きなひとと結婚したら好きなひととずっと一緒にいられてお得だねえ、ってこないだも彼に言ったんだけど。結婚って大恋愛だよねえ、なんてことが今さら言えるのは紆余曲折のフーフの歴史があったからこそとはいえ、そんな乙女じみたことは主婦友達にも、なかなか言えたものでない。
そんなわけで、川上弘美さんの23通りの恋愛短編をこころあらたにしていさましく読んでみる。
『ざわざわ』というタイトルは『さめざめ』でもいい感じの、瑞々しく流れたゆたう23通りの恋愛。好きになり始めの気持ちとか、片足突っ込みかけた状況とか、ふられちゃってあらら、な感覚とか、そんなこんなのひと匙づつがスプーンで口に運ばれてくるように味わった。やあ、川上弘美さんテイストですからね、メールとか携帯とかを使う今どきの恋愛は出てこなかったんだけど、『はだかエプロン』がとくに素っ頓狂でよかったなあ。
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川上 弘美
マガジンハウス
¥ 1,365
(2006-07-20)
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